ニッセイ財団環境研究助成 研究の準備

研究の準備段階は5年目である。調査論文にも5年間を費やしているので今回のプロジェクト研究の準備には10年間を費やしている。研究論文は1990年度   第4回 日本民具学会研究奨励賞受賞「ワラビの地下茎採取活動」(『民具マンスリー』第22巻7・8・9号、1989所収)にまとめた。。現在、現地のNPO法人に加わり、実践研究のための基礎調査に5年を費やし、ワラビ粉生産部長として生産に従事している。村人を3人短期雇用し、NPO法人の事業の一環としておこなっている。このことは、『民具マンスリー』「実践民俗学 ー民俗文化復活の現代的意味ー」48巻5号に詳しい

 

準備段階の3年間は放牧地において小規模の採取しか認められず、荒廃農地にわらびの人工栽培を試みた。人工栽培がうまく繁殖せず、わらび植生確保のため放牧地の採取許可をお願いした。その後4年目、5年目の実施段階において、本格稼働にはまだまだであるが、採取が2年目に入り、4年目に10キロ、5年目に35キロを生産している。東京や京都の和菓子店に営業に行き、販売の実績は東京虎屋、小石川一幸庵、京都蕭月の3軒に納入を決めた。また、フランスのフランチレストランから引き合いがあった。来年の納品になるだろう。本格稼働になるためにはさらなる販路の拡大が必要となる。

 

また、わらび粉を生産する段階で残る繊維から作れるわらび縄が日和田のわらび縄として宮内庁の御用を賜わろうとしている。サンプルを納品し京都の業者と価格設定を行なっている。

   そのために、わらび植生の不足が課題になっている。この解消のため隣接の共有牧野のオバコ牧場の有効利用によりわらび植生の確保をはかろうとしている。現在、共有地であるため共有牧野の地権者の了解をとっている。

NPO法人Y.I.Kからは理事長及び理事がチームのメンバーに加わり村の全面的支援を受けている。杉山は正会員としてNPO法人に加わり、わらび粉生産部長となっている。

 

高山市は「市長と話す会」において市長によればわらび粉生産の進展具合を聞き採取地確保のための牧場再生を約束した。このチームのメンバーには高山市元基盤整備課長が参加し、山村振興に加わっている。

日和田の雇用者は、これらの動きにより年間収入を10万円~20万円増やしつつあり、短期雇用を3人増やした。若者の参入も呼びこんでいる。わらび粉やわらび縄の社会的価値が高まることによって村人は誇りをとりもどしつつある。

これらを確固たるものにしたい。

 

このチームは、山村調査のベテランを集めている。本研究は川喜田二郎(1980)の安家プロジェクト「生態系把握と住民参画に基づく山岳諸地域の活性化に関する比較研究  」を土台に山村における活性化研究をより実践面に重きをおいて実施する。次のような調査分担である。

1.杉山はわらび粉生産販売を軌道に乗せ本研究の全体から村落社会の活性化に至る過程を追う。

2.手島氏は、農研機構、畜産草地研究所、山地放牧研究Gの山地放牧研究のスペシャリストである。新たな牧場のコンセプトと具体的牧場整備の技術なサポートをする。

3.水野氏は日本大学教授、山村農家の農業経済学的研究をされたので諸施策実施による村落社会における評価と実施の有効性を追っていただく、

4.巣山、市石、小林、杉野氏は筑波大学大学院環境科学研究科を修了し川喜田二郎先生の指導により岩手県岩泉町安家の調査に参加し、山村に関わる修士論文を提出した。

巣山氏は、エネルギー資源として山村林野の有効活用を考える。市石氏は牧場における動物をめぐる生態系の調査を行う。環境教育。小林氏は牧場における牛と蜂蜜をめぐる生態を追う。杉野氏は村落社会における農業の意味を問い直し新たな特産品を市場に出すことを行う。環境教育

5.池谷氏は地理上の世界的視野で山村の環境史を考察する。南氏はネパールヒマラヤの山村との比較検討を行う

6.元高山市課長の柚原氏は山村振興をより強く働き掛けていく

7.NPO法人Y.I.Kの中田直太郎氏、上田榮勇氏、小坂守氏の3名は地元の立場からこの研究に参加し、村の活性化の中心となる。

 

以上のような陣容で準備を進めている。