実践民俗学4 桃源郷をつくる。
-山村振興ネットワークを作ろうー

Ⅰ.山村の価値

日本の国土の70%は山間地である。山村はその機能保全の役割を担ってきた。しかし、今、山村の疲弊が急速に進み山間地は機能不全に陥いりつつある。本計画は、国土の有効利用を図るため、また、山村と都市の脆弱さを補うため、山村における放棄された中世以来の伝統ある共有牧野の再生有効活用による、生態系サービスの回復を通して在来知であるわらび粉生産の復活と牛飼養等をはかり、生物多様性に基づく文化多様性による産業の振興という生活基盤の安定化と、共有地ゆえの地域住民レベルでの住民参画による環境保全の有効な手法として,これらの物心両面にわたった活性化に基づいた事業を目指すことによって、山村の危機を救い、しいては山村と都市の両者の脆弱性を同時に打破することを目的とする。

  民俗誌や市町村誌、民俗調査によって学問的に貴重な文化の掘り起こしを行なう。今までの学問の蓄積を使う。これを評価する。評価は普遍的価値と現代的価値の両面から探る。普遍的価値とは伝統的なものをいい、わらび縄の文化財利用や、わらび粉の和菓子や糊の利用である。現代的価値は創薬である。

また、わらびをお手本に 国策として山利用を考える。日曜雑器や輸出工芸品に漆を奨励するのはどうだろうか?。漆林の増加による有用植物の造林が進み山利用による山村振興につながる。また、漆工芸の振興により生活文化の向上につながる。職人さんやデザイナー、メーカー振興になる。大規模な山間地の有効活用に繋がり、これを国策として行うのである。山村の主幹産業になる。

 

Ⅱ.山村のブランディング

わらび根の文化事象は   縄文農耕、農耕の起源、宮内庁御用、国宝修復、茶道、和菓子、和食、版画に及び、まさに文化であり、文化の深淵に臨んでいる。山村がなければこれらは成り立たたず、これらの文化事象の都市での利用を山村が支えている。本物を作っていることを社会に広く宣伝する。山村と都市の利用の宣伝が足りない。山村という価値は認められ共感や信頼を集めるだろう。山村というブランドは育てられていき山村という価値は見直され山村は活性化され、都市を支える。このほかのそば、高根コーン、飛騨ほうれん草も一層価値あるものになり、山村はさらなる発展が期待される。村落住民全体で支え、村にお金が回るようにする。

文化の深淵の具体例は

・「わらび縄」が宮内庁の御用を賜ります。

文化国家日本研究所・飛騨わらびが関与する、岐阜県高山市高根町日和田の「わらび縄」が宮内庁の御用を賜わろうとしています。御所、二条城、修学院離宮の竹垣の結束材に使われます。

・日和田のわらび縄が国立民族学博物館に収蔵されました。縄綯いの古くからの技術伝承者を見つけました。日和田が最後の伝承地です。展示されます。

・京都国宝修理装璜師連盟の国宝修理の材としてサンプルのご用命を賜りました。中世からの日本画の修復の裏打ちに使われます。

・赤坂虎屋さんが「飛騨わらび」の商品化を決定しました。黒色でないあめ色になる本物のわらび粉を探しておりわらび餅の製作作を取りやめていました。虎屋さんの応接間には色紙が飾られています。「京の雅、江戸の粋」とありました。アポなし飛び込み営業の「飛騨わらび」の商品化を決定され、お茶の一期一会を大事にされる虎屋さんは「粋」です。ご存知の通り雅でもあります。つい最近、新わらび餅の試作品をつくられました。新社屋のお披露目と同時にいただけます。

・千家十職奥村家(表具師)からサンプルのご用命を賜わりました。茶室の掛軸の接着の糊としてわらび粉が使われます。

ミシュラン3つ星の名店からご用命を賜わっています

・ 神楽坂 石かわさんよりご用命を賜わりました。

・元麻布日本料理かんださんよりご用命を賜わりました。

・ 京都 菊乃井さんからサンプルのご用命がありました。

・ 銀座 小十さんからサンプルのご用命がありました。

これらの具体例を使って山村のブランディングを行う。山に自生するわらびから産出するわらび粉やわらび縄は、高級品として位置付けられ山村の価値を高めていく。

これによって社会の共感や信頼をより広く得て、高根の山村というブランドを育て、社会から目を向けられ多品目生産により山村の活性化を計る。小冊子などをデザイン作成する。

 

Ⅲ.六次産業化

六次産業には定着、資金、施策などがあるが、伝統文化とITとの結合などの取り込みがあるため、補助金に頼らず自己資金でおこなっている。IT関連は、ホームページ(飛騨わらび)や通販Amazon(わらび粉飛騨わらび)を利用している。

6次産業 の、一次産業 、食品加工 、流通販売の取り組みのなかで生産、営業を自力でおこなっている。わらび粉生産は、2週間かけて延べ80人日で地下茎を1.5t掘り、50kgのわらび粉を生産した。生産したわらび粉は上記に営業し納品を決めた。

食品加工は純度100%のわらび餅を作り地産地消の意味で村民経営の蕎麦屋「望嶽の菴」でメニューとして提供している。さらに新製品を考案する。また、高根町日和田牧坂商店、道の駅飛騨高根匠工房、高山市アンテナショップまるっとプラザでわらび粉100gを販売している。順調である。東京京橋のギャラリーで物産展を開催することを計画している。高根町の物産であるわらび粉を始めとして日本ミツバチの蜂蜜やトウモロコシの高根コーン、飛騨ほうれん草、火畑そば、その他野菜などを展示販売する。ギャラリーなので画家さんの協力を得て野菜の絵画、御嶽などの風景画を展示してギャラリーらしい物産展にする計画である。

 

Ⅳ.山村金融

    ムラにおける山村金融は地域金融として、山村にお金を回すことを目的とする。村内では①村民からの借金②投資信託をあげる。②の山村投資信託は、ミクロの山村の取り組みを集めマクロの立場から投資信託としてお金を集める。特産品を集めた総資産は数億とする。特産品の売り上げを利回りの担保にする。利回りは植物の生長率を目指す。①村民から借金をする。金利は、郵便貯金、JAの利率を上回るようにする。原資は山菜のわらび摘み販売代金などを充てる。少額ではあるが村民広くから集められるし元手はかからない。(村全体の取り組みとなり、老若男女にお金がまわる。)

 

Ⅴ.地域おこし協力隊OB

これらの担いては地域おこし協力隊OBの若者を予定している。地域おこし協力隊の若者をなんとかしなければならない。この若者は、2年間の協力隊活動の後、地域に根差しゴルフ場やスキー場でアルバイトをして生活を支えている。パソコンインストラクター免許、株取引に精通、文化に興味を持ち、山村に住みたいという貴重な人材である。わらび縄のない方とわらび餅の練り方を学ぶことになっており、一つ一つ山村の希少価値の技術を身につけている。

 

Ⅵ. (仮称)岐阜県立飛騨御嶽乗鞍自然文化公園計画

この計画は山間地開発の一環である。本計画は、歴史ある飛騨地方の高峰御嶽乗鞍に挟まれた地域の豊かな自然環境の保全と再生のために1000年の歴史ある中世からの放牧地を再生することである。この地域には、文科省高地トレーニングセンターやチャオスキー場があり、夏のスポーツ合宿・登山、冬のスキーレジャーと開発などの山間地利用が進むが、地元民の収入向上に結びつかず、山村の疲弊から脱却できていない。

    草地利用の包括的生業計画は、自然文化環境保全と再生を図る目的のうえに草地を再生し、春秋のわらび粉生産、飛騨牛放牧、そば、高根コーン、ほうれん草、山菜、薬草、蜂蜜、有用樹植林、生き物のすみかなど生物多様性を保全しながら,これらを利用した生業展開することにより文化多様性に基づく、林野一体化利用による観光客も取り込む、憩いの公園として、また同時に、県民所得の向上をはかる地域振興策でもある。

    現在260haの牧場は樹林地になっており平坦地である2haの草地をつくるために重機や住民参画により切り捨てによる林地伐採し、伐根をし草地を造成する。また周辺の林地を伐採し有用樹木を植林する。初年度は0.5haの整備を行なう。2haの整備計画は、①わらび粉生産      江戸期以前から継承されている日本の農耕の起源を探る貴重な民俗である。一度途絶えた民俗を地域振興山村振興として復活させ、村落開発の中心に据えている。「飛騨わらび」という社団法人を起こし生産販売を行っている。この2haの草地をさらに拡大していきたい。②飛騨牛飼養     子牛を借り受け生産を行ない1頭を放牧する。芝やクローバーを捕食する。2haの放牧地に牧柵を巡らす。③蜂蜜採集   巣箱を置き、古代集蜜法により日本蜜蜂の蜂蜜を集める。クローバーなどをまき集蜜させる。④山菜摘み  初夏に村民、観光客を相手にわらび摘みを行なう。入場料を徴収する。⑤薬草栽培   オオバコなどの薬草を自然状態に近い形で育成させる。⑥有用樹植林  林地を伐採し漢方であるキハダや染色原料の樹木であるヌルデなどを植林する。⑦わらび縄を綯う会  澱粉加工の残渣であるわらびの地下茎の繊維から縄がなえる。水に強く丈夫なため古来から貴重であった。その製縄の技術が高根町日和田には残されている。日本で唯一である。御所などの文化財の神社仏閣の竹垣の結束に使われる。この技術を伝承するため若者を集めてわらび縄を綯う会を作る。植林されたヌルデなどの染色原料木によってわらび縄を染め樹林地の有効活用に繋げる。

雇用者は、4~5人の短期新規雇用を目指す。これらを支えるためわらび粉生産は、1ha当たり600kg、のわらび粉産出が可能である。30日間の稼働でわらび粉100kgを生産することによって一人当たり年間30万~50万の収入増をはかる計画である。このために販路の拡大を計り、東京、京都の和菓子屋、料理店をまわる。また、引き合いのあるフランスや海外ネット販売により海外にも進出する。冬場の仕事として製縄者に対しては4000円前後の日当を支払う。

    昨年度はわらび粉を50kgを近隣の高山市営牧場で生産し、150万円の売り上げだった。しかし、わらび植生が足りない。この計画で補う。わらび粉生産は軌道に乗り利益が出ている。草地整備植生復元後は、このわらび粉採取利益と補助金によりさらに草地を拡張し、年間100kgのわらび粉の生産をし、300~350万円の売り上げを計画している。これを基幹として飛騨牛、蜂蜜採取事業、山菜採取事業、薬草採取事業、有用樹の植林を行い更なる収益を目指し生物多様化を図る。

自然文化の環境保全とその再生を可能にする努力は、生物多様性と文化多様性を保証し、科学技術の集積である都市を支え、山村振興、地方活性化をもたらす。両者は不可分である。この計画は日本の山間地開発のモデルケースとなる。

 

Ⅶ. 文明の脆弱性の打破

エジプト、インダス、ギリシャなど文明を支えてきたのは森林とのバランスである。これを欠くことによって文明は脆弱になった。森林ー都市文明を補完する方策が現代必要とされている。これによって人間性のバランスもとれる。

そのために現代に適応した形として都市の企業が僻地の山村の面倒をみるというのはどうだろうか?。両者にとっての有用性を探し出す。京橋に生まれ僻地を回ってきた成果である。都市の社会的責任と言い換えられる。

社会のための企業であり、利益のためだけの企業でなくメセナなどの文化投資、日経新聞の文化欄の充実、一般社団法人の地域への還元など富の偏在の是正につながる。

    脆弱な、都市文明と山村になっていくなかにあって山村と都市の両者を同時に成り立たせ(る)方策を考えださなくてはならない。

このままでは山村が見捨てられ都市も衰退する。文化の多様性が都市を支え文明を生み育てるという

原点に立ち、人類史への回帰による側面からの幸福追求(をする。)