実践民俗学5  山村と都市の脆弱性を救う生物多様性

日本の国土の70%は山間地である。この開発に日本の命運がかかっている。このままでは  山村が見捨てられ都市の脆弱さ(^_^)が進み、自然とのバランスが崩れ、世界の文明史に見られるように日本の文明を危うくする。(仮称)岐阜県立飛騨御嶽乗鞍自然文化公園計画はこの山間地開発の一環である。本計画は、歴史ある飛騨地方の高峰御嶽乗鞍に挟まれた地域の豊かな自然環境の保全と再生のために生物多様性に基づき、1000年の歴史ある中世からの放牧地を再生することによって、生物多様性を確保してその結果、生物資源管理して、生物多様性による資源の利用を促進し、生物資源の経済的価値を追求することによりその結果として生態系サービスの回復である在来知であるわらび粉生産の復活や牛飼養等をはかり、産業の振興という生活基盤の安定化によって山村の危機を救い、しいては山村と都市の両者の脆弱性の打破を同時に計るというものである。こうして日本の国土開発を進め,一層、生物多様性を深める。

この地域には、文科省高地トレーニングセンターやチャオスキー場があり、夏のスポーツ合宿・登山、冬のスキーレジャーと開発などの生物多様性を利用したレジャーによる山間地利用が進むが、地元民の収入向上に結びつかず、山村の疲弊から脱却できていない。

 

対象となるオバコ牧場は260haの森林になっている。これを生物多様性という生態系の多様性確保と種の多様性の両者を図るために、ここに森林と草原を作り出す。森林には有用樹を植林し種を増やし、草原は火入れなどによって、自然植生の豊かな植相を作り出しわらび、飛騨牛をはじめとする多様な種を育む。生物多様性の資源利用は、これらの種を利用した包括的生業計画という生態学的つながりに基づいた文化多様性という意味での伝統的生業文化の価値を見直したうえで、春秋のわらび粉生産、飛騨牛放牧、そば、山菜、薬草、日本蜜蜂の蜂蜜採集栽培、ゴバイシ、ヤシャブシなどの有用樹植林など生物多様性の保全と生物資源利用もたらし、林野一体化利用によった観光客も取り込んだレジャーという憩いの公園であり、また同時に、県民所得の向上をはかる地域振興策でもある。

 

現在260haの牧場は樹林地になっており平坦地である2haの草地をつくるために重機や住民参画により切り捨てによる林地伐採し、伐根をし草地を造成する。また周辺の林地を伐採し有用樹木を植林する。初年度は50aの整備を行なう。生物資源利用した経済性追及の生業は①わらび粉生産      江戸期以前から継承されている日本の農耕の起源を探る貴重な民俗である。一度途絶えた民俗を地域振興山村振興として復活させ、村落開発の中心に据えている。「飛騨わらび」という社団法人を起こし生産販売を行っている。この2haの草地をさらに拡大していきたい。②飛騨牛飼養     子牛を借り受け生産を行ない数頭を放牧する。芝やクローバーを捕食する。2haの放牧地に牧柵を巡らす。③蜂蜜採集   巣箱を置き、古代集蜜法により日本蜜蜂の蜂蜜を集める。④山菜摘み  初夏に村民、観光客を相手にわらび摘みを行なう。入場料を徴収する。⑤薬草栽培   オオバコ、山ゴボウなどの薬草を自然状態に近い形で育成させる。⑥有用樹植林  林地を伐採し漢方のキハダやわらび縄の染色原料の樹木である五倍子やヤシャブシの植林を行う⑦わらび縄を綯う会  澱粉加工の残渣であるわらびの地下茎の繊維から縄がなえる。水に強く丈夫なため古来から貴重であった。その製縄の技術が高根町日和田には残されている。日本で唯一である。御所などの文化財の神社仏閣の竹垣の結束に使われる。この技術を伝承するため若者を集めてわらび縄を綯う会を作る。植林された五倍子などの染色原料木によってわらび縄を染め樹林地の有効活用に繋げる。
これらの取り組みによって生物資源利用の経済性追求が進み生物多様性が図られた日本の山村振興のモデルケースとする。

 

○活動内容 全計画地2haのうちの1年度分50aの藪の伐採と重機を使った伐根を行なう。残りの1.5haは、初年度分の草地のわらび植生の復元状況を確認して、数年後に次年度の整備をおこなう。これらは生物多様性資源確保するための草原の造成によりその利用として生物資源利用であるわらび根採取とわらび粉生産、有用樹の植林、蜂蜜採取、山菜採取農園の管理、薬草栽培の整備を展開する。

○活動準備  参加者の募集は村内の共同経営者にお願いする。伐採、伐根の作業は村内の建設業者に請け負わせる。

○活動体制      現場監督を置く

○安全対策      現場の下見、ヘルメット着用、作業団体保険に入る

○事業目標      工期を1ヵ月半とし260haの林地のうち、平坦地2haのうちの初年度分50aを伐採伐根チェーンソウと重機によって行なう。わらび植生復元具合を確認し、その後3年間で同様の整備を行なう

○事業効果       生物多様性を確保するために草原整備する。資源管理は火入れ、家畜の喫食によりワラビ・シバ植生に遷移段階を抑える。資源利用にあたる種の増加は山菜、牧草、日本ミツバチの増加、飛騨牛により芝の繁茂など生物種の増加が予想される。

波及効果はわらび粉生産を生物資源利用の経済性追求の基幹生業とする。雇用者は、4~5人の短期新規雇用を目指す。1ha当たり600kg、のわらび粉産出が可能であるからわらび粉100kgを生産することによって30日間の稼働で一人当たり年間30万~50万の収入増をはかる計画である。冬場の仕事として製縄者に対しては4000円前後の日当を支払い、

 

補助終了後の事業継続はわらび粉事業の収益により草原を拡大する

草原を広げることにより生物多様性を一層確保しさらに資源利用を図るものである。対象地2haを4年計画で行う総事業費800万円の事業計画である。今回は、4年計画の1年目で200万円の事業費である。50aを伐採伐根する。翌年から数年間に渡りわらびなどの植生復元を確認した後、残りの1.5haの整備をお願いする。

昨年度はわらび粉を50kgを近隣の高山市営牧場で生産し、150万円の売り上げだった。しかし、わらび植生が足りない。この計画で補う。わらび粉生産は軌道に乗り収益が出ている。草地整備植生復元後は、このわらび粉採取収益によりさらに草地を 拡大し、年間100kgのわらび粉の生産をし、300~350万円の売り上げを計画している。〓これを基幹として飛騨牛、蜂蜜採取事業、山菜採取事業、薬草採取事業、有用樹の植林を行い更なる収益を図り継続的に生物の多様化を図る。

生物多様性の資源利用の経済性追求から生まれた高価値の産物を利用して山村のブランディングを行う。村落住民全体で支え、村にお金が回るようにする。これらの担い手の中心は地域おこし協力隊OBの若者がいる。山村のブランデイングを成功させ六次産業化の価値を高め、生物多様性の価値を高める。

自然文化の環境保全とその再生を可能にする努力は、生物多様性とそれによる文化多様性を保証し、科学技術の集積である都市を支え、山村と都市は不可分である。この計画は日本の山間地開発のモデルケースとなる。