2019トヨタ財団育てる助成   生物多様性が生む地域振興 – 放棄放牧地の林地の草原化が生むわらび根採取文化活性化-

 

 

1.プロジェクトの目的 プロジェクトを通じて、「だれ・なに」が、「どうなる(状態)」地域・社会をめざすのか。 具体的なイメージについてご記入ください。

 

岐阜県高山市高根町日和田の人々が、豊富な生物層を持つ草原回復によるわらび根採取の活性化を目的に、林地化した放棄放牧地の伐採により草原を増加 させることによって生物層の増加と生物多様性 をもたらし、良質なわらびの繁茂と飛騨牛放牧を可能とさせ日本で最高峰のわらび粉生産と宮内庁御用達になったわらび縄生産の伝統民俗文化復活により疲弊する山村を生物多様性が持つ経済性に立脚した生活水準の向上と持続的に活性化していく地域を目指す。

 

 

2.プロジェクトを通じて解決したい地域課題の現状と関連する取り組みプロジェクトを通じて解決したい課題の現状と関連する制度、既存の取り組み(先行事例)などについて ご記入ください。

 

隔絶山村である高根町の人口減は平成20年510人から平成29年341人となり高齢化率55.4%の限界集落になっている。40歳未満男31人、女24人、所得が少なく土地が狭小である。この土地ではタカネコーン、1000mホウレンソウ、や火畑そばなどの高冷地野菜が作られているが日和田本来の基幹生産物であったわらび粉生産はすたれてしまった。このプロジェクトと協力しているNPO法人ワイ・アイ・ケーは高山市農業委員会と協定を結び農業ができ、荒廃農地対策として蕎麦を奨励し5ha耕作し蕎麦栽培、販売にも力を貸している。

本計画は、御嶽山の南側斜面に広がる木曾義仲の時代から1000年の歴史ある放牧地であった高山市高根町日和田のオバコ牧場、ワッパラ、千町牧場の500ha一帯の一部30haの樹林地伐採と草原化を目的としている。かつては草原であったが、産業構造の変化と人口減少による後継者難による放牧地の放牧とわらび根掘りの廃業により、放牧、火入れ、伐採など人の手が入らなくなり20年間で林地化してしまった。これによって土地の有効利用ができなくなり、草原の生物多様性は失われ、生物種の均一化と生物層の貧弱さに変わってしまった。ここは良好な放牧地でありわらび根の採取地であったが今注目の飛騨のわらび粉とわらび縄も失われてしまった。ここの樹林地を伐採し良質なわらび粉を確保するために採取地の拡張に迫られている。わらび粉は、わらび粉のまがい物が広く出回り、わらび粉文化が守られていない。本物が失われている。 わらび縄が桂離宮の黒文字垣の垣結いとして宮内庁御用達の栄誉を賜った。わらび縄の供給が無くなってしまい、今、わらび縄の製縄術の日本の伝承地は日和田が最後となっている。伝承者が1人になってしまったため講習会などによって日和田に保存継承の担い手を育てる手段を探っている。

わらび縄はわらび粉を加工する過程で付随的に取れるものでわらび根を掘らなければ作れないためわらび根掘りが必要となる。34良質なわらび粉でないと商品価値がなく良好な採取地を確保しないとわらび根掘りの存続も不可能となりわらび縄も作れなくなる。

飛騨牛放牧は林地化により飼養頭数は減り芝などの野草を喫食させて育てる自然放牧の頭数が減ってしまった。

牛飼養の意味はわらびの競争種を除草させ、糞尿が肥料となりわらびを繁茂させるなど必要されるが生物多様性の循環がなされていない。

わらび縄には天然染料で染色を施すがゴバイシ、ヤシャブシの染料を購入しており自前で加工するためには不足しており、多様性が確保されていない。

既存の取り組みは明治安田クオリティオブライフ文化財団の助成を受けわらび根加工の千本付きの製作とわらび縄講習会の講師謝礼を払う。

以上の取り組みは、草原のわらび根採取、牛飼養、有用樹種の植林を一体化させた林野の生物多様性であり、それに基づいた見直しから生まれる伝統文化の復活による地域振興である。

 

 

 

  1. プロジェクトを通じて解決したい地域課題の背景(問題構造の把握) 「2.プロジェクトを通じて解決したい地域課題の現状と関連する取り組み」で記載した地域の課題が起 きている背景やその要因の全体像について図やイラストなどを用いてご記入ください。 それぞれの関係性・関連性についてもできるだけわかりやすくご記入ください以降

 

 

 

4.プロジェクトでの取り組み本プロジェクトでは、上記で記載した問題構造のどの部分に取り組まれるのか。実施部分の詳細と合わせて、今回取り組まれる理由(課題解決の戦略)についてご記入ください。

 

問題構造の中で今回取り組む箇所は放牧地放棄による樹林地化がもたらした草原減少を回復させ生物多様性をもたらすことによって伝統的文化であるわらび粉やわらび縄などの産品を生み出し地域振興を図ることである。

1000年の歴史ある260haの放牧地が産業構造の変化,林業不振、人口減少により牛放牧放棄やわらび根採取が行われず、伐採や火入れなどの人手をかけなかったため放牧地は荒れ、草原は樹林地に変わってしまった。

山の価値の再発見が、学問の力を借り、山村振興研究所をはじめとして研究により考え出されてきている。これによって草原などの山利用が拡大され生物相も増加し生物多様性の研究が進みその経済性の追及によって生産力が上がり生活水準も上げることを目的としている。

これらは、伝統文化がかかわるものが多く伝統文化の復活につながり、歴史生態的希少価値が見出されるようになり、この価値を商品化し都市連携を計り売り込む。生物多様性に基づくわらび根採取復活によるわらび粉、宮内庁御用達わらび縄、飛騨牛や山菜、植物繊維などが中心とする。これらを使って地元で工芸品やレストランや博物館、公民館を「文化の庭」に作り都市民を呼び込み地域振興とすることである。

上記の産物を支える、わらび繁茂、飛騨牛放牧、有用木植林に的を絞り草原化を図る。樹林地伐採を行いその後火入れ、採取作業、牛放牧をする。樹林の伐採はダケカンバやシラカバ、ナラなどを切り捨てにする。株起こしも徐々に行う。この後火入れを行い幼樹を焼き払う。飛騨牛放牧により幼樹の駆除とススキ、笹などを喫食させわらびを優占種とするよう誘導する。有用木の植林を地味を考慮して行う。当面はわらび縄の天然染料であるゴバイシ、ヤシャブシの樹木を植林し林と原野の両面から林野、草原の生物多様性を計って草原の経済性を追求し、草原復活を図る。

日和田に古くから伝わるわらび縄製縄術により作られるわらび縄が桂離宮の黒文字垣に使われることが決まった。宮内庁御用達である。日和田で生産続け復活した天然わらび粉が赤坂虎屋さんへの納品が決まりそうである。どちらも生物多様性に基づいた伝統的民俗技術による産品であり日和田でしか生産されずその価値が社会に認められ始め、経済性も相まって日和田の誇りとなり地域振興の柱となる。代々受け継がれ日和田の宝となるだろう。

 

 

 

5.実施内容

 

  地域振興の柱となる「文化の庭 」を計画している。生物多様性に基づくわらび根採取復活による天然わらび粉、宮内庁御用達わらび縄、日和田で生産された飛騨牛や山菜、植物繊維、工芸品などの利用を中心として、山村振興研究所(既存施設)、レストラン(既存施設)や博物館(既存施設)、公民館(既存施設)をこれらの山利用の文化を結晶化し展開させ紹介する拠点の施設にする。ここでいう文化は人間の営みという意味である。第一次産業から美術工芸、庭園までを含み山の香りがするものばかりである。これらの施設は文化事象である山村の人々の営みを集めた、日和田の民俗的価値や味覚、美の紹介をする山の文化価値の利用を広げ山村振興の拠点にする。

わらび採取地拡大のパイロット事業は、わらび繁茂、飛騨牛放牧、有用木植林に的を絞り草原化を図る。林地伐採は1haのパイロット事業として1haの林地で行う。植生はナラ、シラカバ、ダケカンバ、笹、ススキである。林地伐採は10aあたり1日5人工で5日間の作業であるので1haは50日の作業である。5人工/日/10a、経費は1人工8000円で1ha伐採にかかる経費の総額は200万円であり、作業期間は50日である。伐採の後、火入れを行い幼樹を焼き払う。飛騨牛放牧により幼樹の駆除とススキ、笹などを喫食させわらびを優占種とするよう誘導する。これらに加えて、わらび根採取作業により繁殖部分を掘り残してくるためわらびを優占種とする。歩留まりの確保のため優良な採取地が必要となり手入れを要する。有用木の植林を地味を考慮して行う。当面はわらび縄の天然染料であるゴバイシ、ヤシャブシの樹木を植林する。原野と林の両面から草原、林野の生物多様性を計って草原の経済性を追求し、草原復活を図る。

山村振興研究所は山の価値の再発見となるアイデアの源を生み出す。学問の力を借り、新たな山村振興の方策を考える、思考の実施内容策である。生態学の立場では生物多様性における経済性の側面の価値の創出と、文化生態学の立場からは、わらび粉が日本の農業の起源であり主食であったという歴史上重要食料であったという仮説「わらびの地下茎採取活動からみた縄文中期農耕社会」『民具マンスリー』48(2)2015(杉山是清)と、明治期にはわらび縄とともに日本中の山間地で採取されていたという重要産物の生態史的価値『明治前期産業発達史資料』に希少価値を見出した。これによって草原などの山利用が拡大され生物多様性と経済性の研究が進み、そのわらび粉やわらび縄の経済性の追及によって生産力が上がり生活水準を上げることにつながる。これらは、伝統文化がかかわるものが多く伝統文化の見直しにつながり、実施面でもコンセプトの源を深めるための思考実施として伝統文化を追求する。施設は既存の30坪くらいのレストランの一部10坪くらいを借りて改修をする。宿泊施設を完備する。林業、農業、畜産業、土建業などが混じりあって新しい産業により、6次産業や流通・金融・デザインの情報や伝統的な山村文化から得る知恵を含め研究所に集積する。山村の疲弊は全国的課題であるからこの研究所を中心に日和田の問題解決事例をネットワークを張り全国に発信する。若者と共に歩んで行きたい。

日和田に古くから伝わるわらび縄製縄術によるわらび縄が桂離宮の黒文字垣に使われることが決まった。宮内庁御用達である。わらび縄の供給を復活させなければならない。わらび縄の製縄術は日和田が日本最後の伝承地である。わらび縄は、修学院離宮や御所や二条城、の垣縄として利用されてきた。これを復活させ文化財を守り、町の誇りを高め、山離れ克服につながる。技術継承のため講習会を開く。今年の12月、1月2月3月の農閑期に村人を集め日和田で生産したわらびの地下茎の繊維を使ってわらび縄のない方を最後の技術伝承者である古老に習う。日和田で生産を続け、復活した天然わらび粉が赤坂虎屋さんへの納品が決まりそうである。伐採による採取地面積の拡大によりわらび粉生産の安定化を図る。どちらの産品も生物多様性に基づいた伝統的民俗技術によるものであり日和田でしか生産されていない。価値である。